子どもへ話す方法
子どもと性について話す時、私たち大人の大切な姿勢を お伝えします。
「恥ずかしがらない」、「ごまかさない」、「否定しない」です。
子どもが性について質問をした時、大人が恥ずかしがってごまかしている様子や、「どうしてそんなこと聞くの!」と、否定をしたり、拒否をしてしまうと、子どもたちは、「聞いてはいけないことを聞いてしまったんだ」、「もう聞くのはよそう」と、性に関することを人に話してはいけないんだと思うようになってしまいます。
逆に、大人の反応をおもしろがって、性に関する言葉をふざけて使ってしまうこともあるかもしれません。突然子どもから質問をされて、戸惑うこともあると思います。
その前にぜひ、心の準備をしておいてください。
子どもと性に
ついて話すときの大切な姿勢
✓子どもと性について話しをする時、笑ったり、恥ずかしがらないこと。子どもは大人の表情や態度をよく見ています。
✓話している時に、答えられない質問をされたら、ごまかしたりするのではなく、「今すぐに答えられないから、調べてくるね。」 or 「一緒に調べてみようか?」と子どもに伝える。
✓子どもから気づきや質問があったら、「いいところに気づいたね」「どうしてそのように思ったの?」と子どもの話しを真剣に聴いているよという姿勢をみせて、安心感をもってもらうように心がける。
✓子どもが間違ったことを言ったりした時、『ダメ!』『違うよ!』と否定する言葉は使用しない。「どうしてそのように思ったの?」など、子どもがなぜそのように言ったのかを引き出しながら、子どもと対話することを心がける。
✓子どもが理解していないようであれば、無理に話さない。時間をおいて、話してみる。
✓できるだけ落ち着いた場所で、ゆっくり時間のとれる時に話すといいです。お風呂などがおすすめです。
✓一方的に教えるのではなく、子どもに質問してみたり、子どもが発言できるようにすることが大切。
ついつい、教えようと意気込んでしまうと、少し子どもが聞いていなかっただけで、「ちゃんと聞いているの?」、「分かっている?」と一方的に話してしまいがちですが、一度に伝えることができなくてもいいんだという気持ちで、会話を楽しむことを大切にしてほしいです。
多様な性、
ジェンダー平等
の伝え方
このサイトでは、子どもと「多様な性」や「ジェンダー平等」を話すために活用できる絵本を紹介させていただいています。
絵本を活用することで、話すきっかけをつくることができ、お子さんとスムーズに話すことが可能になります。ただ、絵本を準備するのが大変、兄弟がいて、一緒に読む時間をつくるのがなかなか難しいなど、少しハードルが高いかもしれません。
日常生活のなかで、簡単にできる方法をいくつか紹介したいと思います。
1.からだの名称
からだの名前を覚えるところから話してみると、抵抗なく始められるかもしれません。一緒にお風呂に入っている時、普段のちょっとした時間でもできます。
頭、首、肩、胸、腕、腰、おしり、おちんちん(ペニス)、おまた、足、膝、ふくらはぎ、足の裏など年齢に合わせて、部位を細かく伝えていくといいと思います。必ず、性器についても名称を伝えます。おうちでは、性器の部分をどう呼ぶのかお子さんと決めておくといいです。正式名称の「ペニス」、「バルバ」で教えてもいいですが、あまりなじみがないので、正式名称を伝えるとともに、おうちではどう呼ぶのかを決めておくといいと思います。
この時に、ふざけたり、おもしろがって大きな声で話すことがあれば、あなたの大事なからだの部分をおもしろおかしく笑ってはいけないということも一緒に伝えてみてください。
水着で隠れる部分だけでなく、あなたのからだのすべてが大事なので、あなた以外の人が勝手に触れたりすることはできないこと、あなたも他の人のからだを勝手に触ることはできないということを伝えてみてください。
2.多様なからだ
お子さんと手のひらや手指、足、足指のかたちを比べながら、「ここは似ているけど、ここは全然かたちがちがうね」と似ているところ、違うところを比べながら ていきます。似ているところ、違うところを話しながら、「同じところもあるけど、みんなどこか違っているよね。」、「背が高い子もいれば、低い子もいるよね。」、「みんなそれぞれ違っていて、それぞれ素敵だね」など、違いばかりに目をやるのではなく、似ているところにも着目しながら、みんなのからだは多様であること、誰一人同じかたちや色をしている人はいないということを伝えていけるといいと思います。
3.男らしさ、女らしさ
普段の生活のなかで、例えば、男の子であれば、「ぼくは、男だからピンク色の服なんか着ないよ」、「女の子だから、青色のふでばこなんておかしい」など、男らしさや女らしさにとらわれた発言がよく聞かれることがあると思います。もしかしたら、保護者のみなさま自身が無意識に、男らしさ、女らしさにとらわれた言葉を使っているかもしれません。
こうした言動に対し、「それは違うよ!」など、子どもを否定することは控えてください。このような発言が聞かれたら、まずは、「そうなんだね。なぜそう思うの?」「男の子っぽい色ってなんだろう?女の子っぽい色ってなんだろう?」と子どもの考えを引き出してみましょう。
自分や身近な人で、男の子っぽい色、女の子っぽい色に関係なく好きな人もいるという具体例(「お母さんは青が大好き」「お父さんは、赤やピンクが好きだな」など)をだしながら、「男の子の色、女の子の色ってないんだね」と話してみるといいです。「自分が好きな色を好きと言っていいんだよ。誰かにおかしいと言われても、自分が好きな色や形があれば、自信をもって、好きと言っていいんだよ」と伝えてみてください。
ここでは、色のお話しを例に挙げていますが、遊び、おもちゃでも同じように、男らしさ、女らしさにとらわれた発言がきかれることがあると思います。ここでご紹介した対応例のように、男であること、女であることに関係なく、自分の好きな遊びやおもちゃを選んでいいんだということを伝えてみてください。
4.好きになる性、多様な家族
あまり、日常生活のなかで子どもたちから話題にのぼることは少ないかもしれません。このサイトで紹介している絵本を使用して話してみることもできますが、もし絵本を準備するのはちょっと大変というのであれば、普段の子どもとの会話のなかで、意識的に話してみることもできると思います。
テレビや絵本では、お父さん、お母さん、子どもがいる家族がよくでてきます。
そんな家族の話しになった時に、「家族のかたちもいろいろなんだよ。お父さん、お母さんと子どもたちが暮らしている家族もいれば、お父さんと子どもだけ、お母さんと子どもだけ、お父さんやお母さんがいなくて、おじいちゃん、おばあちゃんに育ててもらっている子もいるよ。他にも、子どもがいない家族もあるね。あとは、お母さんが2人、お父さんが2人のお家もあるんだよ」など、子どものお話しを聞く集中度に合わせて、話す量を調節していくといいと思います。おそらく、お母さんが2人?お父さんが2人?と疑問をなげかけてくる子どももいると思います。
「女の人が女の人を好きになること、男の人が男の人を好きになって結婚をすることもあるんだよ。日本では、まだ女の人同士、男の人同士が結婚できる制度はないけれど、他の国では、結婚できるところもあるんだ。決しておかしいことではないし、お互いに好きな人同士が一緒にいれることは幸せだよね」などと伝えることもできます。
子どもの状況に合わせて、「男の人も女の人のことも好きになる人もいるし、どちらも好きにならない人もいる。みんながみんな一緒ではないんだね。」などと、好きになる性は多様であることを伝えてみてください。まだ、「好きになる」「結婚する」という意味合いがよく分からない年齢の子でも、真剣にお話しをしておくと、成長してからあの時のお話しを覚えていてくれたんだと思うこともあるかと思います。
お子さんの反応をみながら、少しずつお話しをしていくことができるといいと思います。